石油の流通状況が悪化し、物資不足や価格上昇への不安が蔓延しています。燃料はもちろん、薬の供給にも悪影響がありそうです。
私たちが努力するとしても、輸入が止まれば対応は難しいでしょう。紛争が長期化せず、流通が正常化してくれることを祈ります。大統領に賠償金を要求できると良いですが、現実的ではありません。
一国の大統領の人気取りの政策で世界中の国が迷惑するとしても、当該国の選挙制度がそうなっているため誰も止められないというのは理不尽な話です。でも現実を受け止めて、できる対処をするしかないと思います。
薬の流通、処方に関して
原材料費や運搬、製造に要する費用が上がることで、薬の流通は今よりさらに悪化すると予想されます。既に数年前から突然注文できなくなるケースが増えていて、問屋や製造元に尋ねても埒が明かない状況です。
注文できない理由に関して、問屋も製造元も明確に回答しません。利益を確保する狙いがあるのではないかと推測はするものの、詳細は不明です。そのため私達も説明に苦慮しています。患者さんから苦情を受けることもあります。御不満は当然ですが、満足いただける説明は不可能です。
政府は薬の処方に関する様々なルールを定めています。これも合理的な根拠が明示されないものが多く、患者さんへの説明に困る原因になっています。 患者さんの便宜を優先して規則を逸脱することを許さない、薬価を抑え自己負担は増やす、院外処方に誘導するといった方向性が決まっているようです。苦情を言っても、規則が変わることはないでしょう。
当院の都合で処方を制限しているわけではありません。そもそも当院内での処方は、患者さんの便宜を優先していることを意味します。利益を得るために処方をいじっているわけではありません。
在庫を増やせるものは増やし、注文先を変えたり薬が残っている薬局への院外処方に切り替えたり、薬剤を変更したりの対応をとっています。御迷惑をおかけしますが、御協力をお願いします。
心筋細胞の移植
心筋梗塞で心臓の機能が低下した方に対し、心筋細胞を移植する研究が各国で行われています。IPS細胞を用いた国内での治験も始まります。細胞のシートを心臓に張り付けるそうです。おそらく胸腔鏡を使ってみぞおちから心臓に貼り付けるのでしょう。心筋シートの技術は日本オリジナルではなく、既に海外でも発表されています。
これとは別に、細胞を血管から注入する手法も開発中だそうです(BMJ2025;391:e083382)。へその緒にある「ウォートンのゼリー」から間葉系幹細胞を取り出し、心臓の血管内に注入する方法がとられました。
治療の結果、心不全や再入院の率は数分の一程度に下がり、死亡率を上げる重大な副作用は認められませんでした。注入の際に細胞で血管が詰まらないのは不思議ですが、注入方法をどうにか工夫してあるのでしょう。血管からのアプローチなら、心筋細胞シート貼り付けのように胸腔鏡手術をする必要がないので、侵襲が少ないのは良い点です。
技術的な簡便さと費用を考えると、IPS細胞を使った治療は分が悪いかも知れません。 もしかすると日本の戦略は間違っていて、開発競争に負けて予算の無駄遣いに終わる可能性もあります。一回の治療に億単位の費用を要するようでは、実用に耐えられないはずです。一般の商品を開発するようなセンスで、効率よく研究の方向性を定めるべきと思います。
令和8年3月31日 up
